長野県諏訪市出身の建築史家・建築家(工学博士)で東京大学名誉教授・東京都江戸東京博物館館長の藤森照信(ふじもりてるのぶ)氏の建築作品を厳選して紹介。
「ジブリのような世界」とも称される藤森建築。素朴でエコで個性的な建築作品は現代に生きる私たちが求めている全てのものを兼ね備えているような気がします。
目次
- 1 神長官守矢史料館(長野県茅野市)
- 2 空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵(長野県茅野市)
- 3 小泊Fuji(長野県諏訪郡富士見町)
- 4 多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)
- 5 タンポポ・ハウス(東京都国分寺市)
- 6 ニラハウス(東京都町田市)
- 7 浜松市秋野不矩美術館(静岡県浜松市)
- 8 ツバキ城(東京都大島市)
- 9 一夜亭(神奈川県足柄下郡湯河原町)
- 10 矩庵(京都府京都市)
- 11 養老昆虫館(神奈川県箱根町)
- 12 ラムネ温泉館(大分県竹田市)
- 13 茶室 徹(山梨県北杜市)
- 14 ねむの木こども美術館 どんぐり(静岡県掛川市)
- 15 トタンの家(東京都国分寺市)
- 16 神勝寺寺務所 松堂(広島県福山市)
- 17 草屋根(滋賀県近江八幡市)
- 18 多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)
- 19 小泊Fuji(長野県諏訪郡富士見町)
- 20 まとめ
神長官守矢史料館(長野県茅野市)
諏訪大社上社の神長官を代々務めていた守矢家の敷地内にある資料館。1991年竣工で、藤森氏が手掛けた最初の建築物。茅野市宮川は藤森氏の出身地で、近くには藤森氏の生家を改築した《玄庵》もあります。
ちなみにすぐ近くにある高部公民館も藤森氏の設計。
高部公民館(2021,藤森照信) pic.twitter.com/vradnHsQdD
— 4 (@underMHz) February 18, 2023
空飛ぶ泥舟・高過庵・低過庵(長野県茅野市)
茅野市宮川には3つの”フジモリ茶室”と呼ばれる個性的な建築物があります。いずれも神長官守矢史料館のすぐ近くにあります。
《空飛ぶ泥船》は空中に浮かぶ奇想天外な茶室。
《高過庵》(たかすぎあん)は地上6mの栗の木の上につくられたツリーハウス的な茶室。過去には米Time誌で「世界でもっとも危険な建物トップ10」に選ばれました。
《高過庵》の隣にあるのが《低過庵》(ひくすぎあん)。地面に埋め込まれたかのような低さで、屋根は可動式になっています。
3つとも特別プログラムを予約すれば見学・抹茶体験が可能です。
小泊Fuji(長野県諏訪郡富士見町)
信州のとある場所に2023年8月にオープンした、住所非公開の宿泊施設。1日1組限定で定員は5名まで、プライベート重視の切り離された空間。銅板屋根のてっぺんに植樹したり、かわいい格子窓、手掘り感のある玄関ドアやベランダの手すり、ユニークな暖炉など、藤森建築らしさが随所に現れたワクワク感あふれる宿になっています。
ずぅーっと外の空気がおいしい。南アルプスと小泊Fujiで迎えた、日の出。 pic.twitter.com/D629JCne82
— alpha (@alpha_info_jp) December 20, 2023
多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)
建物の装飾用素材であるモザイクタイルに関する様々な展示を行うミュージアム。2016年6月にオープン。巨大な粘土の塊のようなユニークなデザインや、メルヘンムードが漂うドアや窓、外壁の装飾など、藤森建築ならではの魅力がたっぷり詰まっています。
多治見市モザイクタイルミュージアム行ってきました‼️ pic.twitter.com/3gsmijdQUv
— ぶいけー (@CVK79201) June 30, 2024
タンポポ・ハウス(東京都国分寺市)
東京都国分寺市にある藤森氏の自宅。屋根面緑化でタンポポを植えたことからタンポポハウスと命名されました。
今朝は国分寺周辺を散策。遂にあのタンポポ・ハウスと遭遇。 pic.twitter.com/lctfgPHrUc
— Yu Yamada (@yuyamada_method) August 14, 2023
ニラハウス(東京都町田市)
前衛芸術家で芥川賞作家だった故・赤瀬川原平さんの自宅。1997年に竣工したこの家屋は屋根に数百のニラの鉢をセットする斬新なもので、まだほとんど例のなかった屋根緑化の先駆けとして注目を浴び、その年の日本芸術大賞を受賞しました。
残念ながら現在はニラポットを全て撤去し、金属瓦に吹き替えられています。
『ニラの家(ニラハウス)』
設計者:藤森照信
所在地:東京都町田市
竣工年:1997年
前衛芸術家で芥川賞作家でもあった故・赤瀬川原平さんの自邸。
竣工当時は、広く緩やかな切妻屋根全体にビニルポットのニラの鉢植えを数多く置き並べた住宅であった。 pic.twitter.com/A4sH3kY0dT— Sohei Imamura (@arhitect_bomber) June 1, 2023
浜松市秋野不矩美術館(静岡県浜松市)
天竜市(現:浜松市)が1997年に設立した美術館。秋野不矩(あきのふく)は地元出身で名誉市民の日本画家。秋野自身が各地を回った際に神長官守矢史料館を気に入り、自身の美術館の設計を藤森氏に依頼したもので、藤森氏が手掛けた初の公共建築。
番外編
秋野不矩美術館(設計:藤森照信氏)
地元にある名建築。
学生以来の訪れとなり、解像度高くこの建築に触れることが出来た。 pic.twitter.com/21S2onfTiq— KiKKawa takuya (@kittaku) September 22, 2023
敷地内には藤森氏設計の望矩楼(ぼうくろう)もあります。
#Bura_Bi_Now 静岡県#茶室
「望矩楼(ぼうくろう)」@浜松市秋野不矩美術館2018年築
設計 藤森照信
天竜の木材と銅板ラ コリーナの銅屋根が思い浮かぶ
京都の矩庵(不矩さんの息子さんが住職されているお寺にある)と同じく「矩」が名前に pic.twitter.com/Wa7rCiCnEB
— Kanpanerura(🌸=^_^= (@Siamese___Cat) March 11, 2021
ツバキ城(東京都大島市)
伊豆大島で唯一の焼酎醸造所である谷口酒造のショールーム棟。屋根面・壁面緑化で天頂には大島椿の苗を植えたのだとか。
伊豆大島唯一の造り酒屋#谷口酒造 #藤森照信 #ツバキ城
屋根には椿の木が!#焼酎 芋も麦も甲乙つけがたい美味しさ。#御神火 ロックで飲むのがおすすめ!https://t.co/EiFo8abwp7 pic.twitter.com/FArjRLntCo— 大瀬由生子 (@goodmaple) November 25, 2021
一夜亭(神奈川県足柄下郡湯河原町)
79代首相を務めた細川護煕氏の陶芸工房に造った、五角形のとんがり帽子の屋根を持つ茶室。非公開のため見学は不可。
細川護熙さんのご自宅にある茶室一夜亭すてきだなぁ。藤森照信さん設計で「どうしても早くつくってほしい」という細川さんのオーダーに対して大工さんでなく俳優座の大道具さんに構造体をお願いしたんだとか(家庭画報より) pic.twitter.com/GlsNJycc3y
— mayumi (@kingmayummy) April 28, 2019
矩庵(京都府京都市)
徳正寺の裏庭につくられた茶室「矩庵(くあん)」。徳正寺は日本画家・秋野不矩の息子さんが住職を務めるお寺。
矩庵!徳正寺の中庭にある藤森さん設計の茶室〜。 pic.twitter.com/usEOlfnbjf
— 坂口恭平 (@zhtsss) February 23, 2020
養老昆虫館(神奈川県箱根町)
解剖学者の養老孟司さんの別荘。自身の昆虫標本コレクションを保管するホールがあるので《養老昆虫館》と名付けていますが、一般の人には非公開。
この前、養老孟司先生の箱根の別荘、養老昆虫館(非公開)に寄って外観だけ写真撮ってきた。一目見てわかる藤森照信さんの建築。 pic.twitter.com/uGqt4s7Y0X
— KIN (@kin69kumi) August 19, 2019
ラムネ温泉館(大分県竹田市)
美術館を併設した小規模な温泉施設。世界屈指の炭酸泉と呼ばれる「長湯温泉」の一角を担っています。壁面の黒白のストライプは焼き杉と漆喰。
長湯温泉のラムネ温泉館へ
ここの炭酸泉も高濃度で気持ち良い!42℃のにごり湯と32℃のラムネ湯を交互に入るのがオススメ pic.twitter.com/B7lyn8cy6k
— ヌオー@駅メモ (@quagsire_memo) September 25, 2023
茶室 徹(山梨県北杜市)
複合アート施設「清春芸術村」の敷地内に建つ茶室。樹齢80年の檜の木の上に置かれたツリーハウス。
茶室 徹 pic.twitter.com/jUsLfRyY98
— Niwayas (@niwayasu) June 27, 2023
ねむの木こども美術館 どんぐり(静岡県掛川市)
故・宮城まり子さんが開設した「ねむの木村」の中にある美術館。
ねむの木こども美術館どんぐり
秋になると、必ずここに着たくなるんですね!
紅葉が🍁素敵で、ねむの木こども美術館
とても素敵です!https://t.co/syU0Qpl96Z pic.twitter.com/zCw3cMJ7vP— 福田 (@2yfwyUOSSi30R2Y) November 5, 2022
トタンの家(東京都国分寺市)
うろこ模様のシルバーのトタンがまぶしい「丘の上のAPT(トタンの家)」は、ギャラリーとして建てられたもの。制作にあたっては藤森照信が設計し、藤森研究室の学生たちと協力して建てたのだとか。
ちなみにその隣家はギャラリーのオーナーの自宅で、こちらも《チョコレートハウス》と呼ばれる藤森設計の建物。
定期的に見知らぬ場所、初見の建築を訪れないと死ぬタイプのバーサーカーなので、都心を避けて郊外へ。こちらは藤森照信さん設計の児島画伯のギャラリー「トタンの家」とその自邸「チョコレートハウス」
在廊していた児島さんご本人に色々お話も伺えて、なんとご自宅まで案内してもらってしまった。 pic.twitter.com/3utmAnoQC4— ロンロ・ボナペティ|建築×編集 (@ronro_bonapetit) March 4, 2020
神勝寺寺務所 松堂(広島県福山市)
神勝寺の境内に入ってすぐのところにある、受付を行う寺務所「 松堂 」。屋根の上に松の木を植えてあります。
神勝寺(広島県福山市)
松堂(寺務所、トイレ、ショップ)
設計 藤森照信
2023.2 拝観料1,500円洸庭は見る価値がある。藤森さんの建物はトイレだったか〜といった感じ。#建築巡り #建築散歩 #architecture #今日のみちくさ #STEP_image #japanesearchitecture #藤森照信 pic.twitter.com/8jRsZSLmRt
— STEP-image / 建築写真家の仕事じゃないときの建物散歩 (@STEPimage) February 20, 2023
草屋根(滋賀県近江八幡市)
「ラ コリーナ近江八幡」はバームクーヘンなどの洋菓子を製造・販売する「たねや クラブハリエ」のフラッグシップ店。藤森氏は建物全体を覆う《草屋根》を始め、回廊などの設計を手掛けています。
多治見市モザイクタイルミュージアム(岐阜県多治見市)
モザイクタイル発祥の地であり、全国一の生産地である多治見市笠原町に建てられたモザイクタイルのミュージアム。建物のデザインは、タイルの原料を掘り出す採土場がモチーフだとか。
多治見市モザイクタイルミュージアム
このユニークな外観の建物、ずっと興味があったんですよね
閉館間際に訪れたので、あいにく中は入りませんでしたが、住宅地にここだけ時空歪んでるみたいに異次元光景で、実に面白い😆
広場にあったタイルのベンチがカワイイ pic.twitter.com/ak0GdL0iMy
— 旅の杜 TABINOMORI (@riverwill_kay) September 22, 2023
小泊Fuji(長野県諏訪郡富士見町)
2023年にオープンした一棟貸しのコテージ。1日1組限定/定員5名/朝食付き(セルフサービス)。
藤森照信さんによる日本初の宿泊施設「小泊Fuji」が長野県富士見町にオープン。 https://t.co/Tvk14B5moA
— モダンリビング (@ML_modernliving) September 26, 2023
※プライベートエリアにつき住所非公開。
まとめ
以上、全国にある藤森照信(ふじもりてるのぶ)氏の主な建築作品を厳選して紹介しました。
斬新で素朴、エコなのに懐かしい感じがする藤森建築。見ているだけで癒されるような気がします。
近くに行った際にはぜひ足を運んで見学してみてください。