【伏見稲荷】お山巡りは大変だけどご利益がいっぱい!伏見稲荷大社の徹底解説。夜の参拝もおすすめ

京都・伏見稲荷大社は俗にいう”お稲荷さん”の総本宮。全国に3万社あると言われている稲荷神社の元締めです。江戸の昔から変わらずに伝わるお山巡りでは、稲荷山に鎮座する数多くの神々に祈願をして回ります。商売繁昌・産業興隆・家内安全・交通安全・芸能上達、それに健康長寿から合格祈願まで、現世のありとあらゆるご利益が得られる神域を、一生に一度は徹底的に参拝したいものです。

巡るお社やお塚が多すぎて、簡単には廻り切れない伏見稲荷大社の徹底解説をお届けします。

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目次

伏見稲荷大社の予備知識

伏見稲荷大社を参拝するにあたり、事前に知っておくと役立つことがいろいろあります。

創建したのは秦伊呂具

伏見稲荷大社のもとを創建したのは、都で強大な権力を持っていた豪族・秦氏の、秦伊呂具(はたのいろぐ)と伝えられています。

秦伊呂具は五穀豊穣を祈念して711年に伊奈利(稲荷)三ヶ峰の平坦な場所に稲荷神を祀りました。これが伏見稲荷大社のもとになっています。

秦氏一族は中国から渡来して天皇家に協力して朝廷の設立に関わった一族で、その数は数千人から1万人規模ともいわれています。秦氏の秦の始皇帝の末裔である弓月君(ゆづきのきみ)や、聖徳太子の参謀を務めた秦河勝(はたのかわかつ)などがいます。

稲荷山は神々が宿る山

伏見稲荷大社の神域は稲荷山(いなりやま)の山頂から麓にかけての全域です。3つの峰を持つ稲荷山は古くは三ヶ峰と呼ばれており、元々は古墳であったことが確認されています。参道は現在でも「一の峰」「二の峰」「三の峰」をつないでいます。

稲荷山は神々が宿る山として信奉されて、3つの峰の上社・中社・下社をはじめ、山中にも多くの社が建てられていました。平安時代にはこの社を順に巡る「稲荷山詣で」は人々の間で大人気で、清少納言の『枕草子』にも登場しています。

しかしこれらの社は、1467年から11年続いた応仁の乱で全て焼失してしまいます。麓にあった大社は再建されましたが、峰や山中の社は再建されませんでした。

その後、社があった場所は神蹟(しんせき)として敬われるようになり、明治になると7ヶ所の神蹟が確定されて親塚が建てられました。すると、それを中心に個人や団体が自分の信仰する神や人物を祀る小さな祠や塚をつくる風習が生まれ、それらを巡る「お塚信仰」が流行りました。

千本鳥居は1000本より少ない

祈願成就のお礼に稲荷神社へ鳥居を奉納する風習は江戸時代に始まり、瞬く間に全国の稲荷神社に鳥居が並ぶようになりました。特に伏見稲荷大社の鳥居は数が多かったので、「たくさんの鳥居」の話が、いつしか「1000本ぐらいある鳥居」となり、「千本鳥居」の呼び名が定着していったと考えられています。

稲荷山を含めた神域全体では一万基を超える数の鳥居があるという話も、参拝者を通じて広がった噂であり、実際には3000本から4000本の間で変動しているようです。

ちなみに奥宮から奥社奉拝所まで続く鳥居の列が「千本鳥居」の名で世界に知られているわけですが、江戸時代の鳥居と違って近世の鳥居は太い柱のものが多く、1000本を並べるスペースはないのだとか。現在は約850基ほどの鳥居が並んでいます。

主祭神は宇迦之御魂大神だが・・・

あくまでも伏見稲荷大社の主祭神は宇迦之御魂大神(うかのみたまのかみ)であるものの、お山にはたくさんの神々が祀られているので、信仰の対象は人によってさまざまです。

五穀豊穣の神である稲荷大神に挨拶をした後は、お山のそこかしこに宿る様々な神に祈りを捧げて回るのが伏見稲荷のお山巡り。参拝者は御利益を賜りたい神様にお祈りをしたり、感謝の念を伝えたりしながら、時間をかけて神域全体を巡ります。

3つの峰を全て巡るフルコースは2~3時間かかる高難度の参拝となるので、それなりの心の準備と装備が必要です。行く場所によっては山道も歩くことになるので、履いていく靴にも気を配った方がいいかもしれません。

七神蹟を巡るおすすめのフルコースとは?

伏見稲荷大社の敷地面積は背後に広がる稲荷山を含めて87万平方メートル。前述の七神蹟を全て巡る参拝ルートの総延長は4キロ。通常は2時間と言われていますが、じっくり回ると3時間ぐらいはすぐに経ってしまいます。

七神蹟は次のとおりです。

①御膳谷奉拝所

②御劔社(みつるぎしゃ)

③一ノ峰の上之社神蹟(かみのやしろしんせき)

④二ノ峰の中之社神蹟(なかのやしろしんせき)

⑤間ノ峰の荷田社神蹟(かだのやしろしんせき)

⑥三ノ峰の下之社神蹟(しものやしろしんせき)

⑦荒神峰の田中社神蹟

これらの7つの神蹟を含むお山巡りのルートを順を追って紹介していきます。

御本殿

参拝コースのスタートは御本殿とします。

稲荷大神を祀る本殿は、応仁の乱ののち明応8年(1499)に再興されたもの。主祭神にふさわしい豪壮華麗な装飾を施された大型の社殿は、前方に極端に長く伸ばした屋根の形状が特徴的。「稲荷造」と呼ばれる伏見稲荷大社特有の建築様式です。

本殿の前方には、参拝客の増加に対応するため昭和36年に増築された内拝殿があり、初めて訪れる人は内拝殿を本殿と間違える人も少なくありません。正面から内拝殿を見るだけで済まさず、側面に回って見ることをおすすめします。

玉山稲荷社

江戸中期、帝によって京都市左京区の玉山に勧請された稲荷大神の分霊が祀られている社です。明治8年に玉山から伏見稲荷大社へ戻ってきたため、末社としてここに鎮座しています。

玉山稲荷社の横には同じく末社である長者社・荷田社・五社相殿社・両宮社が並んでいます。

白狐社

重要文化財に指定されている白狐社は、眷属の白狐を命婦専女神(みょうぶとうめのかみ)として祀っている社です。神使である白狐を主祭神とする社は伏見稲荷大社の神域ではここだけです。

奥宮

重要文化財に指定されている奥宮は天正年間に建てられた建造物。こちらも稲荷大神を祀っているため、本殿と同様の装飾が施されています。

千本鳥居の開始地点

奥宮の脇からいよいよ、延々と続く千本鳥居の参道が始まります。

千本鳥居の列は途中で二手に分かれますが、どちらへ進んでもまた合流するので問題ありません。混雑時は右側通行が基本です。

ちなみに戻りも含めて全ての千本鳥居をくぐりたいのであれば、右側通行を守った方が効率的です。全部をくぐる必要性は特にありません。

奥社奉拝所

千本鳥居をくぐり終えた先にあるのが奥社奉拝所。古くから“命婦谷の奥院”として伝えられる、お山(稲荷山)を遥拝(ようはい=遠くから拝む)する場所です。

おもかる石

奥社奉拝所の横には一対の石灯篭が置かれており、石灯籠の先端にある丸石(宝珠)は「おもかる石」と呼ばれています。

願い事を頭の中で念じてから丸石を持ち上げたとき、思ったよりも軽いと感じれば近いうちに願いが叶い、重いと感じれば成就はまだまだ遠い、のだそうです。

伏見神宝神社

奥社奉拝所から表参道を先へ少し進むと、途中の右手に山道が現れます。看板が立っており、「神宝神社 徒歩2分」とあります。

竹林の横の道を進んで行った先にあるのが伏見神宝神社(ふしみかんだからじんじゃ)。すぐにわかります。

表参道から少し離れた閑静なこのエリアは、古来より特別な場所として大切にされてきました。

伏見神宝神社の主祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)と稲荷大神(いなりおおかみ)ですが、この神社には名前の通り”神の宝”も奉納されています。

この宝は「十種神宝(とくさのかんだから)」と呼ばれるもので、神話に登場する饒速日命(にぎはやひのみこと)が地上に降りる際に天照大神から授かった鏡、剣、玉、比礼で、死者を生き返らせるほどの力を持つと言われているパワーアイテム。

ここでは十種神宝をモチーフにしたペンダント型のお守りが入手できます。密かに人気です。

 
 
 
 
 
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古来よりこの強力なパワーを持つ神器を守っている伏見神宝神社には、魂を活性化させる秘技などが伝わっているそうです。

伏見神宝神社は二条城から続く龍脈の上に立っており、水と関わりのある龍が神の使いとされています。そのため本殿の前は全国的にも珍しい狛龍が守っています。

境内には水を司る龍頭大神(りゅうずおおかみ)の社も建てられています。

宝珠を口にくわえている龍の頭像。口の中の宝珠をころころと回しながら願掛けをする場所です。

神宝神社の授与品には龍みくじも用意されています。

奥社奉拝所と同様、伏見神宝神社にもおもかる石があります。願をかけたあと、石に「軽くなって下さい」と願ってから持ち上げたときに本当に軽く感じれば祈願が成就するそうです。

 
 
 
 
 
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伏見神宝神社のある一帯は稲荷山を奉拝できる絶好の場所であり、かつては皇族や貴族が集う場所でもありました。かの有名な『竹取物語』でかぐや姫が生まれたのが、実はこの付近の竹林がモデルだという説もあります。

皇族の娘であった迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)がモデルであるという話もあり、皇族・貴族との関わりがあった伏見神宝神社は、かぐや姫伝説に近しい神社とされています。境内にはかぐや姫愛染碑が建ち、かぐや姫にあやかった叶雛(かなえびな)の風習が残っています。

伏見神宝神社には龍のお札や魔除けなど、個性的な授与品も多く、特に「隼人の盾」という魔除け模様が描かれたお守りは古代の文様が記されたレアアイテムとして知られています。

伏見神宝神社への参拝は表参道から少々寄り道をすることになりますが、知る人ぞ知るパワースポットなのでぜひ立ち寄ることをおすすめします。

根上がり松

伏見神宝神社からもとの参拝ルートに戻ると、すぐ先にあるのが「根上がりの松」。根っこが地面よりも上に露出している珍しい松の樹です。

露出している木肌を手でなでて、その手で自分の身体の痛む場所をなでると痛みが消えるという御利益があるとされています。また、木の根の間をくぐることで祈願が成就するという話もあります。

 
 
 
 
 
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見ての通り、現在の「根上がりの松」はその場所に生えているわけではありません。枯れてしまったため、屋根付きの場所に移され保護されています。

お塚エリアの始まり

根上がり松から先へ進みます。千本鳥居を抜けると、それまでの風景とは違って、小さなお塚が目立つようになります。

この辺りから、稲荷山らしい独特の雰囲気になってきます。

新池・熊鷹社

坂を上り切った先に「甘味処 竹屋」があり、その正面には新池が広がっています。

新池のほとりに建つのが熊鷹社。羽白熊鷹というタカの神様をお祀りしていると伝えられている社です。

それほど大きな社ではありませんが、中ではたくさんの蝋燭に灯がともされており、摩訶不思議な空間が広がっており、引き寄せられそうになります。

新池は稲荷山の中腹にある天然の池で、別名を「谺(こだま)ヶ池」といい、失せ人探し(行方知れずの人を探す)に御利益がある池として知られています。

人探しをする場合は熊鷹社で願掛けをし、新池の前で手を叩きます。拍手の音が大きなこだまとなって返ってくる方向があり、その方向に手がかりがある・・・と伝えられています。

また、同じく能鷹社に願掛けをしたあとで新池に向かって二拍手し、こだまがすぐに返ってくれば願いは早く叶う、という話もあります。

池の右手奥まで行くと、池と熊鷹社を望むスポットがあります。

三ツ辻

熊鷹社をあとにして、表参道をさらに進んでいくと、分岐点「三ツ辻」に着きます。T字路になっていますが、標識が立っているので迷う心配はないと思いますが、ここで左へ行くと裏参道を通って本堂へ戻ってしまいます。

案内図で現在位置を確認。

お山参拝は右方向、何やら建物が見えるほうへ進みます。

三ツ辻から先は右手に「三玉亭」「京屋」「瓢亭」のお土産屋・休憩処が並ぶ賑やかな参道になります。

三徳社

どんどん進んでいくと左手に大松社が現れます。

さらに階段を上って進んでいくと、右手に三徳亭、左手には三徳社が現れます。

三徳社の主祭神は三徳大神。三つの徳は衣・食・住のことで、三徳社は昔から魚河岸や食品関係の会社や個人がお参りに来ることの多い社です。

 
 
 
 
 
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三徳大神をお祀りしている社は全国でもおそらくここだけです。

四ツ辻

三徳社を過ぎ、途中の見晴らしの良い場所を通過し、鳥居の続く階段をさらに上っていきます。

階段を登り切った先が、稲荷山最大の交差点「四ツ辻」です。

四ツ辻は京都市内を一望できる絶景スポットなので、休憩かたがた景色を楽しむ人々で賑わいます。

四ツ辻のランドマークは元治元年(1864年)創業の食事処「仁志むら亭」。仁志むら亭は俳優・西村正彦さんの実家としても知られています。

四ツ辻から先は「右回り=御膳谷奉拝所方向」でも「左回り=三ノ峰 下之社神蹟方向」でも、どちらでも一回りすればOK。

今回は御膳谷奉拝所の方向へ進むことにします。

大杉社と杉乃家

参道を進んですぐ、左手に茶店「杉乃家」が見え、右手には鳥居と大杉社が見えます。

大杉社のご神木は大きな杉の切り株。ここは大工・工務店・木材業者からの信仰を集めている社です。

杉乃家では杉の木で作られたはがきなどが販売されています。

眼力社

杉乃家を超えてすぐの右手にある眼力社には眼力大神が祀られており、目の病気を治す力があると伝えられています。また先見の明や眼力がつくということで、会社経営者や投資家・相場関係者のお参りも多い社でもあります。

眼力社の手水には、稲荷山を駆け下りてきたかのような勢いのある狐の像が置かれており、どういうわけか写真に撮りたくなります。

向かいにあるお土産屋「眼力亭」ではここでしか手に入らない個性的で霊験あらたかなものが多いと評判です。

 
 
 
 
 
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御膳谷(御前谷)奉拝所

眼力社を過ぎると、次に右手に登場するのは社務所。

社務所の正面には階段があり、その上に七神蹟の一つである御膳谷奉拝所(おぜんたにほうはいじょ)があります。

御膳谷奉拝所は稲荷山の3つの峰が重なる場所にあり、古来より山の神にお供え物をする神聖な場所とされてきました。

中央の祈祷殿では、昔も今も変わることなく、朝夕のお供えの神事が行われています。

力松社・奥村社

御膳谷奉拝所の祈祷殿の裏手にはたくさんのお塚があります。お塚の中でも大きくて目立つのが力松社と奥村社です。

奥村社には珍しい狛馬が設置されています。奥村大神は馬に関わる神様なのでしょうか。

これらのお塚が具体的にどのような神様をお祀りしているのかは、お塚をつくった人でなければわかりません。ここは伏見稲荷の”お塚信仰”のカオスな一面を垣間見ることの出来る場所です。

ちなみに社務所ではお守りや御朱印がいただけます。

薬力亭

社務所を過ぎてさらに進むと、お土産・休憩処「薬力亭」のあるにぎやかな場所に出ます。

この先には健康に関する御利益のある社があります。

でもその前に、もし時間があったら薬力亭の手前にある階段を降りていって、その先にある社もお参りすることをおすすめします。

階段下を進んだ先には傘杉社・天龍大神があります。

参道から少し離れた静かなエリアです。

あまり先へ進むと戻るのが大変なので、深入りせずに参道へ戻りましょう。

薬力社

参道を進むと薬力社が現れます。

薬力社は薬力大神をお祀りしており、無病息災・健康長寿の御利益があるとされています。薬品関係・医療関係の人が多くお参りしています。昔は井戸からご神水を汲み上げていたようです。

薬力社には足腰守護の御利益もあると伝えられており、「わらにもすがる思いで祈願すると叶う」という願掛けわらじの風習があります。

なお、薬力社のご神体は巨大な石で、注連縄が巻かれています。

薬力の滝

薬力社の近くにある「薬力の滝」は、滝行の行場です。滝行は現在でも出来ますが、事前予約が必要です。

おせき社

おせき神社はおせき大神をお祀りしています。喉を痛めた歌舞伎役者がお参りして調子が良くなったという逸話から、喉を守って声が通るようになる御利益を求めて役者や歌手、芸能人が喉祈願をすることで知られている社です。

また、咳など喉の病気にも効力があると言われています。

ちなみに薬力亭には役者さんの暖簾が並んでいます。毎年おせき社にお参りに来ているのでしょうか。

石井社

薬力社の隣は石井社になります。

石井大神を祀る石井社には医学技術向上を祈願する人や医学受験生が多く訪れます。1927年にはこのお塚から石井大神を勧請し、京都市北区に石井神社が創建されています。

薬力亭のゆで卵とコーヒー

お土産・休憩処「薬力亭」では薬力健康たまご(ゆで卵)や、御神水で淹れたコーヒーがいただけます。

 
 
 
 
 
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このあとはおせき社の左の参拝ルートをさらに進みます。

長者社神蹟・御劔社

階段を登り切ると七神蹟の一つである長者社神蹟に到着します。

長者社神蹟のメインは御劔社(みつるぎしゃ)。御劔社の別名が長者社(ちょうじゃしゃ)で、創建に関わった秦伊呂具(はたのいろぐ)が長者だったことに起因すると考えられています。

御劔社に関しては様々な解釈があります。

・ご祭神は火の神である加茂玉依姫(かもたまよりひめ)で、これは伏見稲荷大社を創建した秦氏が優れた鍛冶・製鉄技術を持つ氏族であったから。

・御劔社の社殿の中には劔石(つるぎいし)が祀られている。

・御劔社の背後にそそり立つ巨石「劔石(つるぎいし)」こそがご神体である。

一見して重複・矛盾しているように感じる部分もありますが、それがお塚信仰の持つカオスでもあります。

3mの巨石「劔石(つるぎいし)」は注連縄(しめなわ)が巻かれており、信仰の対象となっているのは明かです。別名「雷石」とも呼ばれており、雷神の力が封じ込められていると伝えられています。

階段を上って裏へ回れば劔石に触れることが出来ます。触れることで御利益がいただけるとか。足場が悪いので注意しましょう。

焼刃の水

御劔社の裏には「焼刃の水」と呼ばれる小さな井戸があり、平安時代の刀工・三条宗近が稲荷大神の力を借りて名刀「小狐丸」を完成させた場所だと伝えられています。

長者社神蹟前の手水所にも小狐丸が飾られています。

ちなみにこの近くの塚には全国的にも珍しい「乳飲み狛犬」が置かれています。癒やされる姿で人気ですが、置かれた経緯も設置者も不明とのこと。

付近には春繁大神の社もありますが、詳細は不明です。

お塚の石には「繁春」と刻まれています。春と繁で子孫繁栄の御利益が感じられます。

このあと、さらに参道を進みます。長い登り坂になりますが、一ノ峰まで一気に登りましょう。

一ノ峰(上之社神蹟)

長い登りを終えれば、そこには一ノ峰が待っています。

七神蹟の一つである上之社神蹟(かみしゃしんせき)。稲荷山の最高地点になります。

ここに建てられている「末廣大神」の名を掲げた上社には、大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)が祀られています。

大宮能売大神は天照大神の侍女として仕えた神で、秘書のような存在。そのご利益は多岐にわたり、商売繁盛や千客万来、家内安全のほか、接客がうまくいくことや旅館・百貨店の繁栄などさまざまです。

また、大宮能売大神は踊りの名手として知られる天宇受売神(あめのうずめ)と同一視されているため、芸事の向上や人気を得るなどのご利益も。

稲荷山山頂

稲荷山山頂は標高233m。末広大神を祀った社が実質の頂上にあたります。

一ノ峰をあとにすると、次の目的地は二ノ峰です。

二ノ峰(中之社)

二ノ峰は稲荷山で二番目に高い場所で、七神蹟の一つです。そこに建つ中社には佐田彦大神(さたひこのおおかみ)が祀られています。「青木大神」の名でも呼ばれています。

佐田彦大神は神話に登場する猿田彦神(サルタヒコ)と同一視されている神で、厄除け・道中安全・正しい方向へ導く、などのご利益があると言われています。

次の目的地は間ノ峰です。

間ノ峰(荷田社)

二ノ峰と三ノ峰の間にあるため間ノ峰と呼ばれているこの場所には、七神蹟の一つ「荷田社(かだのやしろ)」があります。

ここに立つ奴禰鳥居(ぬねとりい)と呼ばれる石の鳥居は、柱と島木の接合部分に一枚の座をはめている特殊な形状をしており、全国的にも数の少ない珍しい鳥居です。

次は三ノ峰です。

三ノ峰(下之社神蹟)

三ノ峰には宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)をご祭神とした塚があります。

山頂から見て三番目の社で、応仁の乱以前には下社と呼ばれる社が建っていました。現在は白菊大神の名が掲げられています。

三ノ峰からは四ツ辻まで下りです。

四ツ辻(再)

一周回って四つ辻に戻って来ます。

私は「仁志むら亭」で一休み。

人気の稲荷山セットをいただきました。お山を一周した後のうどんは最高です。

メニューは他にもいろいろあります。

お腹を満たしたあとは、参道を進む前に寄り道をします。荒神峰と御幸奉拝所です。

荒神峰(田中社神蹟)

四ツ辻の分岐から鳥居の続く階段坂を上って行った先には荒神峰(こうじんみね)と呼ばれる塚があります。

ここにある社は「権太夫大神」の名が掲げられていますが田中大神を祀る田中社で、七神蹟の一つになっています。

権太夫大神のご利益は「人気が得られる」ことで、芸事をたしなむ人々や役者・芸能人などからの信仰を集めています。

稲荷山見晴らし台

田中社神蹟の裏を奥へ進むと、稲荷山見晴らし台に通じる道があります。

稲荷山見晴らし台は特に整備されている場所ではありませんが、とても景色の良い場所です。

この先は分岐を経て御幸奉拝所へと続きます。

御幸奉拝所

稲荷山見晴らし台からしばらく進んだ先に御幸奉拝所があります。

この道がかつて「御幸辺(みゆきべ)」と呼ばれる重要な参拝ルートだった頃、御幸奉拝所もさかんにお参りされていたと聞きます。現在でもきれいに整美されていますが、ここまでお参りに来る観光客はほとんどいません。

御幸奉拝所には磐座(いわくら)と呼ばれる”神がお座りになる場所”があります。

また、近くには横山大観の筆塚や子連れ狛狐があります。

御幸奉拝所を参拝したら四つ辻へ戻ります。そのまま先へ進むと深草車阪町の住宅地に出てしまいます。

帰りは田中社神蹟へ戻ってもいいのですが、途中の分岐から右下に見える道を行くと田中社を経由せずに楽に四ツ辻に戻れます。

出てくる場所は田中社への階段の左手の石鳥居です。

四ツ辻(再)

四ツ辻へ戻ったら、階段を下って三ツ辻へと戻ります。

三徳社(再)

行きに参拝した三徳社です。さらに下りていきます。

三ツ辻(再)

三ツ辻まで下りて来ました。左の鳥居を下れば熊鷹社・新池へ戻れます。正面の鳥居を下ると裏参道で本堂脇まで戻れます。

以下は裏参道の案内。裏参道もお塚のオンパレードです。

身代わり地蔵尊(玉五郎大神・玉剱大神)

身代わりとなって災難から守ってくださるとのこと。

白狐大神・玉姫大神

眷属の白狐を祀った社や、良縁を呼ぶ玉姫大神の社も。

口入稲荷大神

口入とは縁を取り持つ仲人(なこうど)のこと。縁結びのご利益があります。

毎日稲荷大神・広告稲荷大神

毎日稲荷社は毎日新聞社が建てたお塚と言われています。ニュースやブログ等に携わる人は隣の広告稲荷と併せてお参りするといいと思います。

腰神不動神社

腰神不動神社こと明竹稲荷宮。腰痛を治してくれるという腰神不動明王が祀られています。

足腰に不安を感じる人は必ずお参りしましょう。

脳天社周辺

数多くの塚や祠(ほこら)が集まっています。この付近は説明しにくいエリアです。多種多様な祈願に対応しており、ある意味便利な場所と言えるかもしれません。

脳天大神

首から上の守り神です。奈良の脳天大神と関わりがあるのかもしれません。

 
 
 
 
 
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運動大神

スポーツの守り神です。

 
 
 
 
 
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この他にも大学大神、縁結び大神、眼力大神、おせき大神など、かなりの数のお塚があります。

伏見豊川稲荷本宮

枳尼真天(だきにしんてん)が祀られています。

荒木神社・口入稲荷本宮

縁結びの神として知られる口入稲荷大神(くちいれいなりおおかみ)が祀られる神社です。

こちらでは三位一体の狐の人形を購入して持ち帰り、ご利益を授かったらお礼をして奉納する風習があり、人形がたくさん並んでいます。

荒木神社ではかわいいきつねのおみくじも入手できます。

末廣大神

珍しい”狛かえる”や”福かえる”の像があり、別名「かえる神社」とも呼ばれています。

かえるは縁起物ですが、狛がえるはかなり珍しいと思います。

福かえるです。福が戻ってきます。

阿佐田哲也大神

雀士で小説家の阿佐田哲也氏を祀っている塚で、麻雀関係者や麻雀に強くなりたい人が参拝します。お塚信仰の自由度の高さが感じられます。

 
 
 
 
 
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出世門

笠木や島木がつながっておらず、天に向かって開けている珍しい鳥居です。上に誰もいない、ということから出世を祈願する「出世門」と呼ばれています。

間力大神

仰々しい彫像が目立つ間力大神。

この世の全ての流れの「間」を取り持つ神様が祀られています。

産場稲荷

おさんば池のそばに建つ産場稲荷。産婆ではなく産場で、伏見稲荷の最初の眷属である狐の夫婦が子を生み育てた場所を神域とした祠(ほこら)です。

狐は多産でしかもお産が軽いと言われていることから、安産や子宝のご利益で知られます。祠の周りの穴が重要です。

大八島社

裏参道のラストとも言える位置にあるのが大八島(大八嶋)社。祀られているのは日本列島の起源となる八つの島で、日本全体の地主神ともいえます。

”社殿がない社”として知られ、朱色の玉垣で囲われたこの禁足地は神が鎮まる神聖な空間とされています。

その先を行けば本堂脇に到着。ここまででお山巡りは終了。お疲れ様でした。存分に参拝できましたでしょうか。

夜の参拝もおすすめ

意外と知られていないことですが、伏見稲荷大社は24時間いつでもお山巡りができます。

もちろん社務所や売店・休憩処は営業時間が決められていますが、随所に照明が設けられているため夜間でも入山は可能です。

特に新池あたりまでなら参道も明るく、起伏も無いので安全です。

夜は寂しそうなイメージですが、参拝客は意外なほどいます。猫も多く見かけます。

頑張って四ツ辻まで上れば、京都市を望む美しい夜景も拝めます。夜の伏見稲荷はなかなか魅力的な場所です。四ツ辻より先も行けますが、しっかりした服装と、念のため懐中電灯などの装備が必要です。

夜の伏見稲荷は不気味だとか怪現象が起こるとか、狐に憑かれるというような噂も流れていますが、神聖な気持ちで訪れれば何も起こりません。

そもそも、お塚はお墓ではないので、怖がる必要は全くありません。

ただし、悪ふざけをしそうな人とは一緒に行かないほうが、いろいろな意味で無難です。稲荷大社としても責任はとれないと思います。

ちなみに猫は昼でも夜でもかなりの数が見られます。猫好きの人はなかなか先に進めないかもしれません。

おみくじにも、ねこのおみくじがあります。

おわりに

伏見稲荷大社の知名度は今や世界レベル。お山巡りは庶民の流行でした。

多くの人は稲荷山の広さを知らずに訪れるため、御本殿を参拝して千本鳥居をくぐり、新池あたりまで歩いたらなんとなく満足して帰ります。

せっかく稲荷山に行くのですから、予備知識をしっかり頭に入れて、準備万端整えて行くのが吉です。お山巡りを完遂し、ご利益をいっぱいいただいて帰りましょう。

なお、きつねのおみくじが気になった人は、京都のかわいいおみくじ情報もどうぞ。

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