金沢の香林坊に宿をとり、夜景を求めてナイトハイクをしました。9月末の気持ちの良い夜でした。
夜の尾山神社、2020年に新しくできた鼠多門橋、独特の風情が人気のあかり坂・暗がり坂、静まったひがし茶屋街など、おすすめスポットを紹介します。
目次
香林坊から尾山神社へ
まずは夜の尾山神社(おやまじんじゃ)を訪問。明治28年に建てられた和漢洋折衷の神門は暗くなるとステンドグラスの窓に灯りがついて美しさが増します。
ライトアップはおおむね夜の22時まで行われています。
暗がりに照らし出される神門は怪しいまでの美しさ。尾山神社の魅力は夜間に行ってこそのもの。ナイトハイクのスタートにふさわしいスポットです。
そして尾山神社の社殿。こちらも神々しく照らし出されています。
尾山神社は戦国きってのおしどり夫婦として知られる前田利家公とおまつの方を祀った神社。昼間行くと2人の銅像も拝見できます。
尾山神社から鼠多門へ
さて、尾山神社の境内を抜けて裏手にある門をくぐるとお堀通りに出られるのですが、その手前にお堀の向こうの鼠多門(ねずみたもん)へと通じる鼠多門橋があります。
鼠多門と鼠多門橋は2020年7月18日に完成したばかり。かつて玉泉院丸庭園と尾山神社を結んでいた門と橋を復元したものです。
昼間も美しいですが、夜の美しさはまた格別。鼠多門の名のとおり、鼠色の海鼠壁(なまこかべ)が鮮やかに照らし出されます。
この鼠多門をくぐると夜の玉泉院丸庭園が見られます。
鼠多門および玉泉院丸庭園のライトアップは主に週末や祝日前に行われています。また、季節ごとに行われるイベントでも盛大に照らし出されます。
お堀通りから百万石通りへ
今回は鼠多門橋の下のお堀通りを北へ進み、尾崎神社回りで百万石通りを目指します。
お堀通りをしばらく行くと右手に現れるのは、北陸の日光東照宮とも呼ばれている尾崎神社です。
天照大神、東照宮(徳川家康)、3代藩主前田利常を祀った神社で、重要文化財に指定されています。夜間は参拝できませんが、豪奢な社殿を見ることはできます。
尾崎神社を越えたら右に折れて、百万石通りまでくねくねと街なかを歩いていきます。
百万石通りから主計町へ
百万石通りを渡ってすぐの路地を入ったところには泉鏡花記念館。もちろん夜間は公開していません。
ここから向かう観光名所「暗がり坂」は明治の文豪・泉鏡花の作品にも影響を与えたといわれている、主計町(かずえまち)茶屋街へ続く狭い坂です。鏡花は暗がり坂を抜け、浅野川にかかる中の橋を渡って小学校に通っていたのだとか。
暗がり坂へは久保一乙剣宮( くぼいちおとつるぎぐう )の裏から下りていきます。ここから先は明治の時代からその姿を変えていないと言われている異空間。
昼間でもうす暗い”暗がり坂”ですが、夜の雰囲気は怪しさよりも美しさの方が勝ります。
格子から漏れる暮らしの灯りに照らされて、温かみすら感じる光景が続いています。
隠れた観光名所として近年注目される理由がよくわかります。”非日常”の世界です。
暗がり坂は途中でもう一つの坂である「あかり坂」につながっています。
泉鏡花はこの界隈の坂を”穴のような崖”と表現していますが、まさにその通りの光景。
建物同士がぶつかり合うぐらい狭い路地。でも整然としていて美しい道です。
主計町から東茶屋街まで
狭い路地を抜けると主計町(かずえまち)茶屋街に出ます。ここでようやく浮世に戻ってきた心地になります。
目の前に流れるのは浅野川。川の向こうにひときわ明るく目立つのは昭和2年創業の「くわな湯」。右手は浅野川大橋を通るメイン通りです。
今回は浅野川大橋を渡らずに、左手に見える中の橋へと向かいます。
泉鏡花も毎日のように渡っていたという中の橋です。控えめな街頭に照らされています。
中の橋から見る浅野大橋。
川沿いを浅野大橋の方向へ戻り、歴史を感じさせるくわな湯の前を通って大通りへ。くわな湯の渋さはなかなかのものです。
ちなみに中の橋と浅野川大橋は、浅野川の水量が多い時には美しいリフレクションが楽しめます。
下の写真は中の橋から見た浅野大橋。
下は浅野大橋から見た中の橋。
浅野大橋のリフレクション。
人通りの少ない夜のひがし茶屋街
大通りを渡ると、ほどなくひがし茶屋街に到達します。
夜のひがし茶屋街。写真では誰もいないように見えますが、夜の散歩を楽しんでいる人はけっこういました。
夜間営業している店は表通りには少ないですが、裏へ廻るとけっこうあります。夜のひがし茶屋街は表も裏も一見の価値ありです。
さて、ここまで歩いてナイトハイクは終わりなのですが、帰りはバスで帰ろうと思っていたら21時ぐらいで香林坊への直通バスは終了していました。
尾山神社で20時頃だったのが、ひがし茶屋街を見終えたら21時半になっていました。のんびり歩きすぎたようです。バスは断念して、主に大通りを歩いてホテルまで戻りました。
写真を撮りつつでなければ20分ほどで戻れます。でも歩くのに慣れていない人はバスやタクシーで帰ってきた方がいいかもしれません。
ひがし茶屋街の最寄のバス停は橋場町。橋場町から香林坊に直通するバスは本数が少ないのが難点ですが、武蔵ヶ辻・近江町市場のバス停からはかなりの本数があります。
健脚な人なら金沢の街は徒歩で十分に回れます。夜の鼓門(つづみもん)を見に行くのもありかもしれません。
尾山神社に近いおすすめのホテルは?
夜の金沢を満喫するのにおすすめのホテルには「KUMU 金沢」「ホテルインターゲート金沢」「変なホテル 金沢香林坊」などがあります。どれも尾山神社まで歩いて2~3分で行ける好立地条件のホテルで、金沢散策の拠点に最適です。
「変なホテル」では恐竜が受付をしてくれます。
「KUMU 金沢 by THE SHARE HOTELS」は2017年にオープンした和テイストの個性的なホテル。
「ホテルインターゲート金沢」は2019年オープン。無料ラウンジが充実したコスパ抜群のホテルです。
おわりに
以上、金沢のナイトハイクのお話でした。今回は夜の暗がり坂を見るのが一番の目的だったので、それにあったルートを選びました。でも21世紀美術館や兼六園をめぐるルートも夜景を楽しめると思います。
夜の金沢は賑やかな昼間とは違った風景を見せてくれるので、ナイトハイクはお勧めです。冬場は寒さが厳しくなる土地なので、それ以外の季節にトライしてみてください。