比叡山のふもとに建つ日吉大社(ひよしたいしゃ)は2100余年の歴史を持つ神社。全国に3800社ほどある日吉・日枝・山王神社の総本宮とされています。
魔よけの役目を持つ神猿(まさる)で有名な日吉大社について紹介します。
平安京の鬼門を守る重要な神社
滋賀にある日吉大社ですが、平安京から見ると表鬼門(北東)に位置するため、都に悪いものが入ってこないようにする魔除け・厄除けの祈祷を行う神社としての役割を持っていました。
日吉大社と猿の関係
魔除け祈祷の神社であったこともあり、日吉大社では魔除けの象徴として神猿(まさる)と呼ばれる猿が祀られ「魔が去る」「何よりも勝る」の意を重ねて崇められてきました。
猿は山王の神使、山の守り神と考えられており、室町時代からすでに神社で飼われていました。現在でも境内に神猿がいます。
珍しい山王鳥居
日吉大社には全国的にも珍しい形の鳥居があります。
山王鳥居と呼ばれる様式の鳥居で、明神鳥居の上に屋根が乗ったような外観をしています。
山王鳥居が見られるのは日吉・山王・日枝の系列神社の中でも少数で、東京では赤坂日枝神社にあります。(下の写真)
西本宮楼門と西本宮
日吉大社には東西に本宮があり、ほとんどの人は山王鳥居をくぐった先にある西本宮から参拝します。
ひときわ目立つ西本宮楼門は1586年頃の造営で、重要文化財に指定されています。
西本宮楼門の軒下の四隅には木造の「棟持ち猿」が配置されているのでお見逃しなく。
西本宮楼門をぬけると国宝・西本宮本殿があります。ご祭神は大己貴命(おおなむちのかみ)で、「古事記」では大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名とされています。
西本宮では神猿(まさる)にちなんだ授与品が用意されています。茶色と金色の神猿みくじがかわいいと評判です。
東本宮楼門と東本宮
重要文化財に指定されている東本宮楼門は1573~93年頃に建てられたもの。その楼門の先には、国宝・東本宮本殿があります。
大山咋神(おおやまくいのかみ)を祀る東本宮は日本で最も古い神社と考えられています。古事記に登場する大山咋神は山王(さんのう)とも呼ばれ、京都や江戸の鬼門を守護する強大な神として崇められてきました。
東本宮にも社務所があり、神猿(まさる)関連の授与品などが拝受できるようになっています。
山王上七社めぐり
日吉大社境内には西本宮・東本宮を含めて「山王上七社(さんのうかみしちしゃ)」と呼ばれる7つの神社があり、それぞれに異なる神が祀られています。
西本宮(にしほんぐう)・・・大己貴神(おおなむちのかみ)
東本宮(ひがしほんぐう)・・・大山咋神(おおやまくいのかみ)
宇佐宮(うさぐう)・・・田心姫神(たきりびめのかみ)
白山宮(しらやまぐう)・・・白山比咩神(しらやまひめのかみ)
樹下宮(じゅげぐう)・・・鴨玉依姫神(かもたまよりひめのかみ)
三宮宮(さんのみやぐう)・・・鴨玉依姫神荒魂(あらみたま)
牛尾宮(うしおぐう)・・・大山咋神荒魂(あらみたま)
樹下宮は東本宮の境内にあり、大山咋神と鴨玉依姫神は夫婦神とされています。
宇佐宮・白山宮は西本宮から東本宮へ向かう途中に並んで建っています。
三宮宮と牛尾宮は八王子山(牛尾山)山頂の崖上にあり、境内から片道30分の山道を登って参拝します。
7社すべてを巡るには1時間30分~2時間を要します。
猿の霊石
東本宮参道の脇に巨石が置かれています。よくよく見ると猿が座っているように見えてくる不思議な石は「猿の霊石」と呼ばれています。
参道にお出迎え・お見送りをするように鎮座しているかわいい霊石です。
神猿関連の授与品いろいろ
神猿(まさる)は日吉大社の顔といってもいい存在。授与品も神猿に関連したものが多く用意されており、お守りやおみくじなどいろいろ選べます。
日吉大社のまさる守は全国でも指折りのかわいいお守りです。
まとめ
以上、神猿で知られる日吉大社についての紹介でした。緑深い山ろくにある日吉大社は神の領域というにふさわしい雰囲気が漂っています。山頂までめぐる七社巡りは大変ですが、時間をかけてじっくりと参拝したい神社です。
名称 | 山王総本宮 日吉大社(ひよしたいしゃ) |
住所 | 滋賀県大津市坂本5-1-1 |
アクセス | 京阪石山坂本線 坂本比叡山口駅から徒歩10分 |
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