名古屋市の「あいち航空ミュージアム」で2017年の開館以来ずっと展示されていた零式艦上戦闘機(ゼロ戦)が、4月8日を最後に三菱重工業に返却されるということで、見納めに行ってまいりました。
この機会に「あいち航空ミュージアム」に行ったことがない方に、このすてきな施設のことをちょっとだけ紹介したいと思います。
目次
何はさておき零戦見納め
とりあえず前置きはすっ飛ばして、ゼロ戦のもとへ。実機の魅力には勝てません。
こちらの零式艦上戦闘機五二型甲は1944年に三菱重工大江工場で生産された三菱478号機。1983年にミクロネシア諸島のヤップ島で発見され、2年かけて復元された・・・といったことがパネルに書かれていました。
零戦は経済産業省が「近代化産業遺産群」のひとつに認定するほどの、歴史的価値の高いものです。戦争兵器だったということに目をつぶることはできませんが、復元した実機を保存することは重要なことだと思います。
なお、返却されるゼロ戦実機は、今後は大江工場(名古屋市)で展示される予定だとか。パネルにも「将来は大江工場の時計台に移設されます」と記されていました。
三菱重工業(当時は三菱内燃機製造)で零式艦上戦闘機の設計・開発に携わったのは、ジブリアニメ『風立ちぬ』でも注目された堀越二郎さん。堀越さんはこのミュージアムに展示されているYS-11の開発にも関わっています。
ちなみに皇紀2600年に採用されたので下二桁の00をとって零式と名付けられたのだとか。世界的にもトップ水準の航空機だったようですね、当時は。
代わりに導入された実物大模型
今回のゼロ戦実機の返却を前に、2019年2月から新たに展示物に加わったのが、ゼロ戦の実物大模型です。こちらは大ヒットした映画『永遠の0(ゼロ)』で撮影に使われたものとされています。
詳細な図面に基づいて製作された実機さながらの模型。実機だと言われたら、そのまま信じてしまいそう。すすけた感じは塗装だそうです。252-04って、映画では誰が乗っていたのかな。
それにしても、すみっこに置かれている上に逆光だったのでうまく撮れない。実機もそうだけど、上から撮影できるスペースがあるとうれしかったかも。
その他の主な展示機
ゼロ戦が主役ではないので、それ以外の主な展示機も紹介しないといけませんね。あいち航空ミュージアムは日本の航空機の歴史が学べるとても貴重な博物館ですから。
航空自衛隊「YS-11P」
戦後初の国産旅客機として名高いYS-11。展示されているYS-11Pは2017年に最後の機体が現役を引退し、国内に残っている実機は希少だそうです。
152号機は現役時代に要人用として使われていたもので、天皇陛下も搭乗されたとのこと。
航空マニアの間では人気の高い機種ですが、パイロットの間では重量過多で非力、コクピットの居住性も劣悪と、とても不人気な機種だったとか。
警視庁ヘリ「EH101」
2019年2月に新たに展示機に加わったアグスタEH101-510ヘリコプター。この機種は国内では警視庁に1機だけ採用されていました。「おおぞら1号」の愛称で知られていましたが、2018年6月を最後に現役を退いています。
大型ヘリの中でも抜群の安全性と居住性が高く評価されていたEH101。「おおぞら」の愛称は現在導入されているS92「おおぞら2号」に受け継がれています。
民間用ヘリ「MH2000」
日本初の、機体もエンジンも純国産というヘリコプター。数機しか受注されなかったため希少種として知られています。
あいち航空ミュージアムに展示されているのは宇宙航空研究開発機構(JAXA)で2013年3月まで使用されていたもの。
ビジネスジェット「MU-300」
性能は良かったにも関わらず、開発した三菱重工業には利益をもたらさなかった不運の名機。設計を含めた生産過程の全てをアメリカの企業に売り渡してしまったため、国内では三菱の社用機として利用されているのみ。
現在はアメリカ企業によりホーカー400の名で生産されており、世界中に700機以上が飛んでいるとか。
展望デッキから航空機を見学
あいち航空ミュージアムはもともと県営名古屋空港の旧国際線ターミナルなので、屋上の展望デッキに上がれば空港全体を見渡すことができます。
民間・商用航空機やヘリの発着、軍用機のタッチ&ゴー、FDAの発着などが見学できますが、発着回数が少ないので大変のどかな雰囲気が逆に人気です。
チケットは1000円、ポストカードつき
あいち航空ミュージアムの入館料は次のとおりです。
一般 | 1,000円(税込) |
---|---|
大学生・専門学校生 | 800円(税込) |
高校生 | 800円(税込) |
中学生 | 500円(税込) |
小学生 | 500円(税込) |
チケットを買うとブロマイドが1枚もらえます。ランダムなので選べません。今回はこの2枚でした。
裏面には解説が書かれています。
MRJミュージアムも併設
私は今回はパスしましたが、「MRJミュージアム」も併設されています。MRJミュージアムでは最終の組み立て工場を見学できます。完全予約制です。
チケットの価格は次のようになっています。
一般 | 1,000円(税込) |
---|---|
大学生・専門学校生 | 800円(税込) |
高校生 | 800円(税込) |
中学生 | 500円(税込) |
小学生 | 500円(税込) |
価格設定が「あいち航空ミュージアム」と同じですが、あいち航空ミュージアムとは別料金で、受付も別です。
下はあいち航空ミュージアム内にある模型です。
その他
あいち航空ミュージアム内には実機以外にもいろいろな展示物があります。模型コーナーには精巧な航空機の模型がずらりと並んでいて圧巻です。
写真に撮ってみると、まるで実機のようです。
また、カフェスペースや限定品を販売しているお土産コーナーもあります。体験型のブースもあるのでいろいろ楽しめると思います。
おわりに
今回はゼロ戦実機の見納めということで「あいち航空ミュージアム」へ足を運んだわけですが、様々な航空機の実機を間近で見るというのはやっぱり楽しいですね。
こうした展示施設にはもっと多くの人に訪問してもらって、楽しさやすばらしさを知ってもらうことが必要だと思います。お子さんを連れて行ったらひょっとして興味を持って、未来の航空業界の担い手に育ってくれるかもしれません。
あいち航空ミュージアムは見どころ満点で満足度の高いおすすめの施設だと思います。名古屋方面に旅行した際はぜひ立ち寄ってみてください。