丸岡城は現存12天守のひとつ。お城好きなら一度は訪れたい名城です。実際に行ってみないとわからないことがありますから、今回はそれをお伝えしたいと思います。
福井駅から車で45分の丸岡城
丸岡城は福井駅から車で45分の坂井市丸岡町というところにあります。
駐車場は広くて無料。一筆啓上茶屋という施設の前が一番おすすめです。
城の裏側にあたるエリアにもタイヤ止め式の駐車場(30分無料)がありますが、裏から登城するのと表から登るのとで、それほどの差はありません。
ともあれ、駐車場に車を止めて、右手奥の石段を少々登ります。
石段を登っていくとすぐに券売所が見えます。大人450円、子供は150円。券売所の横は案内所になっていて、事前知識が得られます。
入場券は「丸岡城」「歴史民俗資料館」「日本一短い手紙の館」の三か所共通。細幅織物のしおりが付いてます。時間があったらお城以外も見学したいところです。
何といってもこの丸岡城は、チケットを買って敷地内に入らないことにはお城の姿も満足に拝見することができません。450円は維持費として寄付するつもりで。
さて、発券所の右手を登っていくと、すぐに丸岡城が現れます。城の前はちょっとした広場になっています。当然、絶好の撮影スポットでもあります。
広場には石碑が建てられています。
柴田勝豊が築城し居城、その後は幾度も城主が替わった城だとわかります。本多成重(以下四代)、有馬清純(以下八代)が有名のようです。
広場からひとしきり写真を撮った後は、いよいよ入城です。
いざ丸岡城に入城
丸岡城はつい最近までは安土桃山時代に建てられた「日本最古の現存天守」と言われてきました。でも最新の学術調査で建築材料が江戸時代のものだと判明して、どうやら日本最古ではなかったらしいということに。
でも日本最古でなくたって、このお城は一見の価値があります。
入り口でスリッパに履き替えて入ります。一階から三階まであり、内部には資料が飾られていて、ジオラマも置いてあります。
とにもかくにも最上階へ、と思うのですが、この階段がなかなかのもの。館内アナウンスで傾斜角65度とか流れていましたが、奥行きが狭いこともあり、備え付けのロープを使っても登りづらい。
特に2階から最上階への階段は、侵入を防ぐ目的もあったのでしょうが、とてもとても実用向きとはいいがたい代物です。
こういうところ、いかにも昔のお城という感じがします。
頑張って上がって行った先の最上階は、四方に眺めの良い窓をしつらえた快適な空間です。上がるのは大変ですが、こういう場所は天下人にふさわしい場所だと思いますね。
魚眼でも撮ってみました。空間の雰囲気が伝わるでしょうか。
窓からの景色。天気が良ければ絶景だと思います。
歴代のご城主は眼下に広がる城下町の風景を日々眺めて暮らしていたのでしょうか。
それにしてもこの階段、上るのも怖いですが降りるのはもっと怖い。足腰に自信がある人なら造作のないことなのでしょうけれど。
忘れてはいけない「お静」の話
広場には見落としてはいけない場所があります。「お静の供養塔」です。
どこの城でも少なからずある人柱(ひとばしら)の話が、ここ丸岡城にもあります。築城の際に石垣が何度も崩れたため、人柱として埋められたのが城下に住む未亡人「お静」。お静は自分の息子を侍にしてもらうことを条件に人柱となったのですが、当の殿様が築城後に移封となったため約束は叶いませんでした。
これを恨んだお静は年に一度、お堀が溢れるほどの春雨を降らせるようになり、世間では「お静の涙雨」と呼ぶようになったとか。
丸岡城の石垣は野面積み(のづらづみ)と呼ばれる、自然石を積み上げて作った石垣。丸みを帯びた岩の多い素朴な石垣が今日も残っているのはお静のおかげなのかもしれません。
「日本一短い手紙」
城の近くには「日本一短い手紙の館」があります。この手紙というのは城主の一人である本多成重の父・重次が戦場から妻に宛てて書いたもので、次のような文面だったとされています。
『一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥せ』
この中の「お仙」が仙太郎という幼名だった長男の成重だったということで、手紙の文面の軽妙さや、子を思う父の心が表れるものだということで注目され、丸岡の目玉となっています。
駐車場のある「一筆啓上茶屋」の名前も、手紙由来ということですね。
裏手はどうなっているかというと・・・
裏手にも駐車場があると書きましたが、裏手から券売所前まで続く階段は、正面から行くよりも短めです。
城内からは裏手にも出られるようになっているのですが、ここから出る必要はないでしょう。
ちなみに裏手には「別名・霞ヶ城」の案内板が立っています。
おわりに
ちょっと前までは日本最古の天守だった丸岡城。急傾斜な階段を上って城主の目線を体験したければ、足腰に自信があるうちに行くべきだと思います。
こじんまりとしたお城ですが、落ち着いた風情が感じられる名城です。最古じゃなくなったからといっても価値が下がるわけではないので、ぜひ一度は訪れてみてください。
ちなみに丸岡城は、1979年の角川映画『戦国自衛隊』のロケ地として使われたこともあります。劇中では春日山城として登場し、城の上空を自衛隊のヘリが至近距離で飛ぶシーンもありました。
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